世利 一弘(パセリ)氏
才能豊かな友人・知人を持つと、毎日がとても楽しくなるもんですねえ。彼らとちょっとした会話を交わすだけでも大いに勉強になりまして、さまざまな面で啓発を受けます。「友人は財産」、まさにその通り!
もう数年前のことになりますが、自作曲のアレンジがうまくいかずにとても悩んでしまったことがありましてね、素人のしょうもない質問にアドバイスをしてくれる親切な(笑)サイトを求めてインターネット上で探し回ったのです。「編曲」「アレンジ」をキーワードに検索をしていたところ、これは!と思ういくつかのサイトを見つけました。
一つめのサイトの管理人さんにメールをしてみたところ、残念ながら全く返事をいただけませんでした。二つ目のサイトの管理人さんは、僕の唐突な質問に戸惑われたせいか、丁重なお断りの返事をされました。そして三つ目のサイトでは実に奇跡的な出会いのエピソードが生まれたのでした。
そのサイトの管理人さんのお名前は世利さんといいます。実はですね、当サイトのコンテンツの一つに「ピンポンパンの部屋」がありますが、世利さんはこのテレビ番組にある時期レギュラー出演されていたのです!僕は本当に驚きましたねえ。これを奇跡と言わずして何と言おうか!(ああ、そのときの興奮を思い出してしまいました。)
その後、何度か世利さんとお会いする機会がありましたが、実に気さくでエネルギッシュ。会話をしていても話題が豊富で笑いが絶えませんでしたねえ。その上、僕のような田舎者に対しても細やかに気を遣ってくださる面があり、妻共々恐縮することしきりです。
話を元に戻しましょう。世利さんからいただいたメールには、僕みたいな素人にも実にわかりやすい表現でアレンジについてのアドバイスが記されていました。音楽を少しでもかじっておられる方にはよい勉強になると思いますので、ご本人の承諾を得てここに掲載いたします。
アレンジのアドバイスをということですが、ここはこうしなさいとか、ここはこうするものですよとかいう決め技にとらわれ過ぎますと、逆にマイナスになります。Aという曲では良かったテクニックが、Bという曲では必ずしも正解という訳ではありません。むしろそのパターンほうが多い場合がほとんどです。
そこで、貴殿の曲そのものへのアドバイスではなく参考という型で私がアレンジする際の3つのポイントをご紹介致します。
なにやら抽象的な暗号めいたフレーズを並べましたが、私にとってこの3つがアレンジの全てなのです。言い換えれば、アレンジではまりやすい3つの罠とも言えます。
まず1つ目のポイントですが、アレンジというものは基本的には、メロディーに肉付けをしていく足し算です。ただそれと同時に、最初に頭に描いたアレンジのイメージに向けてぜい肉をそぎ落としていく引き算でもあるのです。
もっと簡単に言えば、女性の理想のプロポーションと同じことです。出るべきところ(胸やヒップ)を出すには、多少の脂肪を含んだ肉が必要です。ただそればかりだと肥満になってしまいます。
そこで女性はダイエットを考えます。自分の理想の体型を考えると肉を落とさなければなりません(ウェスト)。そうすると今度はダイエットのあまり、あるべきところの肉まで落ちてしまいます。理想の体型になるには、結局その両方をバランスよく、同時にやっていかなければなりません。
これが曲のアレンジにも言えることなのです。メロディーの肉付け作業と、イメージに近づくための肉落としを同時に行うこと、それがアレンジなのです。
次に2つ目のポイントですが、山には頂上は一つしかありません。だから山のシルエットはきれいなのです。裾野からの曲線美を描く富士山などは惚れ惚れしますよね。登山にしても頂上が一つだからこそ、登頂したときの感動があるのです。これが、いくつもあったらどうします?登山の感動などは疲れで半減してしまいます。シルエットもいびつですよね。
自分の作った曲ですから、他の人の作品より目立たせたいのは分かります。しかし、アレンジの要素部分ばかり詰め込んだら、聞くほうが疲れてしまいます。Aメロ、Bメロ、サビと、全てのフレーズを聞かせたいために、逆に収集のつかない曲になってしまいます。
一番ここを聞かせたい、その部分を頂上として、登山口から頂きまでの斜面をゆっくりと登り、登頂の喜びを味わった後、その喜びの余韻を感じながら下山口へと降りていく。その頂上を山のどこにするかは、作曲者とその曲の構成によります。
さて最後のポイントですが、アレンジは何のためにするのでしょうか。答えは簡単です。メロディー(ヴォーカル)を引き立たせるために作るのです。決してアレンジがメインなわけではありません。別にそうしても構いませんが、聞いていておかしいと思いますよね。肝心の洋服が隠れてしまう程アクセサリーを飾り付けても、何か重苦しく見えるだけで、決してれいには見えないのと同じです。まず着たい服があって、それに合うアクセサリーを選び、コーディネートする。音楽も、曲や歌手があって初めてアレンジが出来るのであって、メインを盛り下げたり、つぶしてしまうようなアレンジはしてはなりません。聞かせたい要素はイントロや間奏にもってきたり、フレーズ間にちょっと仕込んだりとやり方はいろいろありますが、間違ってもアレンジの聞かせどころをボーカルと重なるような構成にしないことです。
以上私のアレンジのポイントを紹介させていただきましたが、参考になったでしょうか。
上記のアドバイスは僕にとって非常に有意義で勉強になりました。まさに膝ポンですね!
追記)「パセリ」とは世利さんの少年時代からのニックネームです。僕はいまだに世利さんをパセリさんと呼んでいます。今後ともよろしくお願いいたします。